市場参入・規制
政令342/2026:ベトナムの新しい小売規則は外国フランチャイズブランドに何をもたらすか
外資系企業による物品売買に関する新しい政令が2026年10月18日に施行されます。多くの通商条約締約国の投資家について経済需要テスト(ENT)を撤廃し、許認可の権限を省に移します。フランチャイズの登録方法は変わりません。ベトナムで自ら、またはマスターフランチャイジーを通じて店舗を運営する予定の企業にとって何を意味するのかを整理しました。
要点
- 1号店にENTは不要です。ただしフランチャイズ特有の「1号店」の落とし穴があります。 他の外資系企業が同じブランドで許可済みの店舗をすでに運営している場合、貴社の店舗は2店舗目以降として扱われます(第3条第11項)。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日)
- CPTPP、EU、英国の投資家はENTが免除されます (第22条第1項)。CPTPPでは2024年1月に、EVFTAでは2025年8月1日にENTが終了しました。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · WTO and Integration Centre, VCCI (2026年5月13日)
- 韓国、米国、タイは対象外です。 これらの国はベトナムに登録されたフランチャイズブランドの主要な出身国です。しかしベトナムのRCEP約束表はENTを維持しているため、これらの国(または中国)の投資家が所有する会社は、商業センター内の小規模店舗でない限り、追加店舗について引き続きENTの対象となります。出典: Vietnam Franchise Index, Q3 2026 edition (2026年8月25日) · RCEP Annex II, Viet Nam schedule of specific commitments for services (DFAT copy) (2020年11月15日) · WTO and Integration Centre, VCCI (interview with the Korean Chamber of Business in Vietnam) (2026年5月11日)
- ベトナム資本のみのフランチャイジーは政令の対象外です。 この政令は外国投資家と外資系企業を規律するものだからです(第1~2条)。多くの外国ブランドが現地のマスターフランチャイジーを通じて進出するのはこのためです。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日)
- レストランやカフェはそもそも「小売」に当たらない可能性があります。 第3条第9項は小売を物品の販売と定義しています。イートイン型の店舗に小売店舗設置ライセンスが必要かどうかは条文だけでは確定しないため、弁護士に確認してください。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日)
- ベトナム商工省(MOIT)へのフランチャイズ登録は変わりません。 ただし政令はフランチャイズに言及しています。第3条第6項は流通分野のフランチャイズを流通に含めています。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日)
主な事実
- 公布・施行2026年9月3日公布、2026年10月18日施行。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · Baker McKenzie (2026年9月14日) · Vietnam Briefing (Dezan Shira & Associates) (2026年10月8日)
- 置き換える規定2018年から外資系企業による物品売買と小売を規律してきた政令09/2018/ND-CPに代わり、政令146/2025/ND-CP第36条を廃止します(第45条)。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · Vietnam Briefing (Dezan Shira & Associates) (2026年10月8日)
- 対象ベトナムで物品を売買する外国投資家と外資系企業。小売流通、輸入、物流、電子商取引プラットフォームの運営を含みます(第1~2条)。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · Tạp chí Công Thương (Ministry of Industry and Trade journal) (2026年9月6日)
- フランチャイズこの政令はフランチャイズ登録を変更しませんが、フランチャイズに言及しています。第3条第6項は「流通」に流通分野の商業フランチャイズが含まれると定義しています。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日)
- 許認可機関本社所在地の省人民委員会が事業ライセンスを、各店舗所在地の省人民委員会がその店舗の小売店舗設置ライセンスを発行します(第8条第1~2項)。手続きにベトナム商工省との定例協議の段階はありません。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · Vietnam Briefing (Dezan Shira & Associates) (2026年10月8日)
- 1号店経済需要テスト(ENT)は2店舗目以降にのみ適用されます。第3条第11項によれば、会社がすでにベトナムに店舗を持っている場合、または他の外国投資家・外資系企業が許可を得て運営している店舗と同じ商標や商号で営業する場合、その店舗は「2店舗目以降」とみなされます。同じブランドの2社目の外資系フランチャイジーは、新たな「1号店」を認められません。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日)
- ENT免除 — 条約第22条第1項により、ENTはベトナムがその撤廃を約束した条約の締約国でない国・地域の投資家にのみ適用されます。CPTPP(2024年1月から)とEVFTA(2025年8月1日から)にはその約束があり、UKVFTAはEVFTAの約束を引き継いでいます。RCEPにはその約束がなく、ベトナムのRCEPサービス約束表は2店舗目以降についてENTを維持しています。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · WTO and Integration Centre, VCCI (2026年5月13日) · Baker McKenzie (2026年9月14日) · RCEP Annex II, Viet Nam schedule of specific commitments for services (DFAT copy) (2020年11月15日)
- ENT免除 — 小規模店舗追加店舗は次の3つの条件をすべて満たせば免除されます。売場面積500m²未満、商業センター内に所在、コンビニエンスストア・ミニマート・スーパーマーケットではないこと(第22条第1項)。第3条第12項は、コンビニエンスストアを300m²未満、ミニマートを最大500m²と定義しています。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · VCCI (Vietnam Chamber of Commerce and Industry) (2026年10月6日)
- ENTの審査期間ENTが必要な場合、省のENT評議会は書類が揃ってから20営業日以内に審査し、議長が書面で勧告を出します。その後、許認可機関は5営業日以内にライセンスを発行するか拒否します(第27条)。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日)
- 安全保障審査外国投資家がベトナムで、各500m²未満の店舗を100店以上、および/または各500m²以上3,000m²未満の店舗を50店以上、および/または各3,000m²以上の店舗を30店以上所有または共同所有している状態で新規店舗のライセンスを申請する場合、またはその規模の店舗網を買収してライセンスを申請する場合は、公安省と国防省への意見照会が必要です。両省の回答期限は14営業日です(第8条第3項c号、第26~27条)。規模の異なる店舗が混在する場合の数え方は政令に定められていません。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · VCCI (Vietnam Chamber of Commerce and Industry) (2026年10月6日)
- 報告外資系企業は年2回報告します。1月15日まで(前暦年の年次報告)と7月15日まで(上半期報告)です(第38条)。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · VCCI (Vietnam Chamber of Commerce and Industry) (2026年10月6日)
- ライセンスの有効期間条約上の市場アクセス約束がある国の投資家の場合、事業ライセンスは企業登録証明書の存続期間と同じ期間有効です。5年に限定されるのは、非条約国の投資家、または約束対象外のサービス・物品の場合だけです(第10条第2項)。小売店舗設置ライセンスは、店舗事業の投資登録証明書の残存期間と賃貸借期間のうち短いほうの期間有効です(第24条第3項)。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日)
- 既存のライセンス2026年10月18日より前に発行されたライセンスは引き続き有効で(第44条第1項)、それ以前に提出された申請は政令09/2018に基づいて処理されます(第44条第5項)。店舗を持つ会社が外国資本を受け入れて外国人持分が50%を超えた場合、ライセンスを取得するまでの最長12か月間、既存店舗の営業を続けることができます(第5条第6項)。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · Vietnam Briefing (Dezan Shira & Associates) (2026年10月8日)
フランチャイズブランドが注目すべき理由
ベトナムの事業者にブランドの使用を許諾するだけのフランチャイズシステムであれば、扱うのはフランチャイズ登録、商標、ロイヤルティへの課税です。政令342が重要になるのは、外資系企業が店舗を運営する場合です。ブランドが直営の旗艦店を出すとき、マスターフランチャイジーが外国資本を受け入れるとき、エリアデベロッパーが合弁会社であるときがこれに当たります。
政令342のもとでは省が判断します。本社所在地の省人民委員会が事業ライセンスを、各店舗所在地の省人民委員会がその店舗のライセンスを発行し、ベトナム商工省との定例協議の段階はありません。条約締約国の投資家はENTそのものを経ません。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · Vietnam Briefing (Dezan Shira & Associates) (2026年10月8日)
フランチャイズを念頭に置いた規定もあります。第3条第11項は、他の外資系企業が同じ商標または商号で許可済みの店舗をすでに運営している場合、その店舗を「2店舗目以降」として扱います。ベトナムで外資の入ったフランチャイジーを複数指名するブランドは、それぞれに新しい1号店を与えることはできません。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日)
3つのフランチャイズ形態と3つの結果
- ベトナム資本の会社への純粋なマスターフランチャイズ。 政令342は運営会社を規律しません。貴社の義務は、ベトナム商工省へのフランチャイズ登録、ベトナムでの商標出願、ロイヤルティに対する源泉徴収税です。
- 外国人株主がいるマスターフランチャイジー。 この会社は外資系企業です。事業ライセンスと店舗ごとの小売店舗設置ライセンスが必要です。2店舗目以降にENTが適用されるかどうかは、投資家の国籍と店舗の規模・立地によって決まります。
- ブランド本社の子会社または合弁会社。 上記と同じ規則が適用されます。投資家が小型店100店、中型店50店、または大型店30店を所有または共同所有すると、以後の新規店舗ライセンスごとに国家安全保障審査も必要になります(第8条第3項c号)。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · VCCI (Vietnam Chamber of Commerce and Industry) (2026年10月6日)
外国投資家が現地の運営会社に出資する場合
ベトナムのフランチャイジーの外国人持分が50%を超えると、許認可規則の対象になります。既存店舗はライセンスを取得するまで最長12か月間営業を続けられます(第5条第6項)。許認可の作業は、取引の完了後ではなく完了前に計画してください。出典: Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam) (2026年9月3日) · Vietnam Briefing (Dezan Shira & Associates) (2026年10月8日)
2026年10月18日までのチェックリスト
- 店舗を運営する各社の所有者が誰で、どの国の投資家かを整理する。
- 他の外資系企業が貴社ブランドでベトナムに許可済みの店舗をすでに運営していないか確認する。
- 1号店以降に計画している店舗ごとに、面積区分、商業センター内かどうか、業態を記録する。
- すでに所有・共同所有している店舗数を面積区分ごとに数え、100/50/30の安全保障審査の基準と照らし合わせる。
- 2つの報告期限(1月15日と7月15日)を予定表に入れる。
- 既存のライセンスが実際に行っている事業活動をすべて対象としているか確認する。
- ベトナム商工省へのフランチャイズ登録と商標出願は別途確認する。政令342はこれらを変更しません。
まだ分かっていないこと
このページは2026年10月9日に政令の公式署名版と照合しましたが、すべての条文ではありません。第11~18条、第28~37条、第40~43条および附属書は確認していません。ASEAN(ATISA)およびベトナム・韓国FTAの約束表の逐条確認、UKVFTAの約束表そのものの確認、フランチャイズに関する政令35/2006が2025~26年に改正されたかどうかの確認も行っていません。規模の異なる店舗が混在する店舗網が安全保障審査の基準にどう算入されるかは、政令に定められていません。このページは今後も更新し、訂正は訂正記録ページ(ベトナム語)に記録します。
よくある質問
政令342/2026/ND-CPはいつ施行されますか?
2026年10月18日です。2026年9月3日に公布され、政令09/2018/ND-CPに代わるものです(第45条)。
経済需要テスト(ENT)は廃止されたのですか?
すべての投資家について廃止されたわけではありません。第22条第1項により、ENTはベトナムがその撤廃を約束した条約の締約国でない国の投資家にのみ適用されます。CPTPP(2024年1月から)、EVFTA(2025年8月1日から)、UKVFTAにはその約束があります。それ以外の国の投資家は、小規模店舗の免除に当たらない限り、2店舗目以降について引き続きENTの対象です。
1号店にもENTは必要ですか?
必要ありません。ただし何が「1号店」に当たるかを確認してください。第3条第11項により、他の外資系企業が同じブランドでベトナムに許可済みの店舗をすでに運営している場合、貴社の店舗は2店舗目以降として扱われます。
小規模店舗の免除とは何ですか?
追加店舗の売場面積が500m²未満で、商業センター内にあり、コンビニエンスストア・ミニマート・スーパーマーケットでなければ、ENTは不要です(第22条第1項)。
韓国や米国のフランチャイズブランドはENTが免除されますか?
韓国、米国、タイ、中国はCPTPP、EVFTA、UKVFTAの締約国ではなく、ベトナムのRCEPサービス約束表は2店舗目以降についてENTを維持しています。ENTを撤廃するASEANの約束も見つかっていません。2026年5月、在ベトナム韓国商工会議所の会長は、オリーブヤング(Olive Young)、イーマート(Emart)、ロッテ(Lotte)などの韓国小売企業が依然としてENTの対象であると述べました(VCCI WTOセンター)。
小売ライセンスは現在どこが発行しますか?
省人民委員会です。事業ライセンスは本社所在地の、店舗のライセンスは各店舗所在地の省人民委員会が発行します(第8条)。
国家安全保障審査が必要になるのはどのような場合ですか?
外国投資家が500m²未満の店舗を100店以上、および/または500m²以上3,000m²未満の店舗を50店以上、および/または3,000m²以上の店舗を30店以上所有または共同所有している状態で、新規店舗のライセンスを申請する場合です。両省の回答期限は14営業日です(第8条第3項c号)。
外資系小売企業はどのような報告書を提出する必要がありますか?
年2回です。前暦年分を1月15日までに、上半期分を7月15日までに提出します(第38条)。
政令342によってベトナム商工省(MOIT)へのフランチャイズ登録は変わりますか?
変わりません。フランチャイズ登録は引き続き2005年商法と改正後の政令35/2006/ND-CPに従います。ただし政令342はフランチャイズに言及しており、第3条第6項は流通分野の商業フランチャイズを流通に含め、第3条第11項は他の外資系企業が運営する同一ブランドの店舗がある場合を「2店舗目以降」として扱います。
レストランやカフェにも小売店舗設置ライセンスが必要ですか?
確認した条文だけでは確定しません。第3条第9項は小売を物品の販売と定義しているため、イートイン型の飲食店は小売店舗のライセンスの対象外となる可能性があります。業態ごとに弁護士に確認してください。
出典一覧
- Decree 342/2026/ND-CP, official signed text (Government of Vietnam), 「Nghị định 342/2026/NĐ-CP — vanban.chinhphu.vn」, 2026年9月3日
- RCEP Annex II, Viet Nam schedule of specific commitments for services (DFAT copy), 「RCEP Annex II — Schedule of Viet Nam, sector 4.C retailing」, 2020年11月15日
- WTO and Integration Centre, VCCI, 「Sửa quy định kiểm tra nhu cầu kinh tế để phù hợp cam kết quốc tế」, 2026年5月13日
- Baker McKenzie, 「Vietnam: New Decree 342 Reshapes Vietnam Retail Licensing」, 2026年9月14日
- Vietnam Briefing (Dezan Shira & Associates), 「Vietnam Decree 342: Trading & Retail Licence」, 2026年10月8日
- LNT & Partners (via Conventus Law), 「Decree 342 – Now That the ENT Lifted, What Else a Foreign Retailer Needs to Do」, 2026年9月10日
- VCCI (Vietnam Chamber of Commerce and Industry), 「Quy định mới kinh doanh bán lẻ đối với DN nước ngoài: những điểm cần lưu ý」, 2026年10月6日
- Tạp chí Công Thương (Ministry of Industry and Trade journal), 「Điều kiện cấp giấy phép kinh doanh cho tổ chức kinh tế có vốn đầu tư nước ngoài」, 2026年9月6日
- Duane Morris Vietnam, 「Comparison of market access: WTO, CPTPP, EVFTA, ASEAN — which agreement provides the best access?」, 2025年9月25日
- Vietnam Briefing (Dezan Shira & Associates), 「January 14 Heralds End of Economic Needs Test for CPTPP Members」, 2024年1月12日
- WTO and Integration Centre, VCCI (interview with the Korean Chamber of Business in Vietnam), 「Nâng cấp VKFTA – chìa khóa giữ chân nhà đầu tư Hàn Quốc」, 2026年5月11日
- Vietnam Franchise Index, Q3 2026 edition, 「Vietnam Franchise Index — top origin countries of registered foreign brands」, 2026年8月25日
- Tilleke & Gibbins, 「Answers to Commonly Asked Questions about Franchising in Vietnam」, 2018年7月24日